目標と努力　おやじのひとりごと（１３）



今年も、夏休みの３週間、娘が２人の孫を連れてやってきた。
初めの孫が生まれたとき、「よし！　この子に水泳、スキー、スケート、テニスを教えてあげられるように、健康と体力を維持しよう！！」と、心ひそかに目標を持った。

その孫も今年は小学校の１年生、
去年からスイミングスクールに通い始め、この夏休みの直前に５０ｍを泳ぎ、一つ上のクラスに進んだそうだ。
本人の弁だが「友達と同じクラスに上がりたくて、おぼれそうになりながら夢中で泳いだ！」とのこと、だが、３週間の間にプールには随分連れて行ったが、その５０mを泳ぐ姿はとうとう見せてもらえなかった。

それも無理はないことで、一番浅い所でも背は立たず、泳ぎはじめても、いつ進路に人が入ってくるかもわからず、なによりも「どうしても５０メートルを泳ぐ」と言う強い目標がない。
それでも片道２５メートルを泳ぐ姿は何度か見せてもらった。
傍目には、おぼれてしまうのではないかとも思われる泳ぎなのだが、５０メートルを泳ぎきった自信からなのだろう、どこかにゆとりがある。

今年は「水泳を教える」ことはスクールに任せることにしてプール遊びに専念した。
去年ちょっと目を離した隙にもぐってしまい、プールの水をたらふく飲んで、泣いて叩いて怒ったことがうそのように、こちらの手を振りほどいてはプールに身を沈め、息の続く間いたずら遊びをしては底を蹴って浮上し、瞬時に呼吸をしてまたもぐる・・・・　こんなことを飽きもせず繰り返す。
水と友達になれたことが嬉しくてたまらないようだ。
来年の夏には遊びではなく、泳ぎを教えられることと思うし（もちろん基本的にはスクールに任せるべきだし余計な口出しは慎むべきとは思うが・・・）ともかくまず一つの目標はかなえられそうだ。

問題はスキー、スケート、テニスだが、近くに住んでいるのなら機会もあるだろうが、九州からでは中学生ぐらいにならなければその機会はこないようにも思える。
その時、私も７０歳を超えるが、今の自分には「大丈夫」と言う自信はある。
しかし「確信はあるのか？」と問われれば、もちろんそこまでの確信などあるはずもなく、目標にして体を日々鍛錬していなければならないだろう。そのためには楽しく続けられるスポーツが一番だ。

週一度、下手なテニスを続けているが、下手は下手なりにレベルが同じなら充分に楽しめるものだ。
その中にちょうど１０歳年上の、ライバルであり目標としている人がいる。
さすがに７０歳を過ぎた頃からはスタミナは私より落ちたような気がするが、依然として機敏な動きはさほどに衰えていない。１０年後の自分を考え良い励みであり目標なのである。

その中で、僅かでも良いからレベルアップを目指したい。
この仲間でテニスを始めてから２０年が経つが、ここ数年前からテニスが少し変わってきた。
特に女性の中で、「無理」と自分で判断してあまり球を追わずにあきらめてしまう人が何人かいたのだが、あるきっかけで「最後まであきらめない」テニスに変わり、結果として良いラリーが続くようになり全体に楽しいテニスになった。
何よりも本人が「気持ちが良い」と喜んでいる。
子供でも年配者でも、上達する喜びに違いのあるはずがない。

８年前、現在の住まいに移ってきたが、隣りがスポーツクラブである。
入会して便利に使っているが、運動をしないときでも毎日ここのお風呂をありがたく使わせてもらっている。
主にプールを使っているが、まともな息継ぎもできなかった私も、ゆっくりとがんばって泳げば５００mぐらい何とか泳げるようになり、クロール、平泳ぎ、背泳の３泳法のスピードも随分アップした。
もちろん泳ぎの達者な人と比べればその比ではないが、自分の中では上達した喜びを感じ、次の目標、バタフライに挑戦している。

孫は縄跳びができないのでジジババの所に遊びに行っている間に「飛べるようになる」目標を持ってやってきた。
やらせてみると２，３回で足に引っ掛けてしまう。
縄のまわし方、タイミング、それぞれがぎごちないが、ちょっとだけ注意点を指摘して、後は本人が練習を続けて慣れていくより仕方がない。
それから２，３日縄跳びを続けたが、体得してしまえば早いもので、自分の目標「３０回」はあっさり超えて８７回を記録、嬉しそうに母親に報告する顔が輝いていた。

目標を持てば努力が生まれ、努力が実れば喜びが生まれる。
このことに歳の隔たりなどない。
どんな小さなことでも良い、生涯何かの目標を持ち続けて生きて行きたい。

８月２９日、台風１６号と共に、我家に小さな爪あとを残して孫達は帰っていった。

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