お客様とのふれあい　カリーナ　あ・れ・こ・れ（２）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　うっとおしい杉花粉の季節がようやく峠を越え、桜の花便りが届く季節になりましたが、「カリーナ」には、それよりずっと早く　『サクラサク』　嬉しい便りが届きました。

　はやいもので、おかげさまをもちまして、４月で上井草『カリーナ』も丸１７年を迎えることができました。
私の歳になるとあっという間のようにも思えますが、１７年はやはり１７年、あたりまえのことですが生まれた赤ちゃんが高校2，３年生になるわけで、その間さまざまなことがありました。

　残念なことでは、女房は実の妹を亡くし、私は一番の親友と叔母を亡くし、何人かの常連さんも亡くしました。
商店街では後継者不足で閉店を余儀なくされた店も出ましたし、長引く不況で苦しい経営を続けている店がほとんどで、そんな中でどの店も精一杯の努力と辛抱で頑張り続けています。

　もちろんそんな辛いことばかりではなく、そんな中でも楽しいこと、嬉しいこともたくさんありました。
まず、家族の皆が、たいした病気もせずにつつがなく過ごせてきたことが第一。
そして、二人の子供が共に信頼できる心ある伴侶を見つけ独立し、孫にも恵まれたこと。
息子がカリーナで働くようになったことも大きな喜びです。おかげで時間のゆとりが持てるようになり、テニスやパソコン、旅行や山歩きにもいけるようになりました。

　また、お客様との嬉しいふれあいも数々あります。
サンドイッチをお弁当に通学していたお嬢さんが、社会人になり、お母さんとなって可愛い赤ちゃんを見せにきてくれたり、　お金を小さな手に握り締め「一人できたの！」と誇らしそうにお使いをし、嬉しそうにサンドイッチの袋をしっかりと持ち帰った子が、見上げるような学生になりお弁当に買いにきてくれるようになったり、遠くに引っ越してしまったお客さんが「東京にくる用事があり、懐かしくて寄ってみました」と顔を見せてくれ、九州からちひろ美術館にきて、たまたま入ったカリーナが「とても気に入りました」と便りをいただいたり、・・・・・

　書いていくときりがなくなりますが、思い起こしてみると商売を抜きにして、人の心の温かさ、優しさにふれることが随分とあったように思います。

　これもそんな話の一つなのですが、カリーナが開店してまもなくの頃だったのでしょう。
時々買いにきてくれたり、店に入って食べて行ってくれた親子がいましたが、幼稚園に行っているお嬢さんで、とても知性を感じさせる子でした。
店ではいつもじっとサンドイッチを作る様子を見ています。
お母さんの話によりますと、幼稚園の作文で「おおきくなったらパンやさんになりたい」と書いたとのことでした。

その時には微笑ましい気持になり、「高校生になったらカリーナでアルバイトをしてね、楽しみにしてるからね」と声をかけると黙ってほんとに小さくうなずいてくれました。

　それから年数が経ち、ある日お母さんがサンドイッチを買いにきてくれた時「お嬢さん、カリーナでアルバイトしてくれないでしょうかね？」と聞きますと、翌日ＯＫの返事をいただけました。

　思っていたようにさらに理知的で、とても気配りのできる娘さんに成長していました。
カリーナでのバイトは土、日、祭日だけでしたが（あくまでも学業が第一でしたので）２年生まで続けてくれ、その後大学受験のためにカリーナのバイトは止めました。
　そして3月初め、見事第一志望の早稲田大学に合格し、「サクラサク！」便りを届けてくれました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おめでとう！　ほんとうにおめでとう！！

　　　　　　　　　　　　　

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